【ヘッジファンドを知る】ヘッジファンドの成り立ちと変遷について

残念なことに、ヘッジファンドというと一般に「マーケットをかき乱す諸悪の根源」「ともすれば大金をむしり取られかねない詐欺集団」という悪いイメージがすっかり定着しています。

しかし、ヘッジファンドのことをよく調べもしないまま、ただそのような噂を鵜呑みにしてしまってはいませんでしょうか?

きっと「ヘッジファンドのことをよく知らないから怖い」と感じているだけであって、ヘッジファンドの歴史を知り、仕組みを理解すれば怖いどころかこれほどまでに資産運用に有用な投資は存在しないということがお分かりになるはずです。

そこで、この記事ではヘッジファンドの歴史について解説していきます。

ヘッジファンドの成り立ちやこれまでの変遷を把握して、今後の資産形成戦略に大いに役立てましょう。

ヘッジファンド・マインドの立ち上がり

ヘッジファンドの起こりは、1920年代 にまでさかのぼるといわれています。

当時、アメリカではのちに「狂騒の20年代」と呼ばれる大きな社会、芸術、文化面での勃興期が訪れており、人々の生活が文字通り一変した時代でした。

1929年に起こったウォール街の大暴落によって世界恐慌が起こるまでのたった数年間ではありますが、過去に類を見ないスピードで製造業が成長・発達し、実用性のある発明や娯楽・楽しみが増加。消費者の購買意欲とともに消費物に対する需要が加速度的に高まっていきました。

そのような経済的な成長が著しい状況下において、資産家にのみ提供されるような投資商品も数多く生まれました。

代表的なものに、ベンジャミン・グレアムとジェリー・ニューマンによる「グレアム=ニューマン・パートナーシップ」などがあり、2006年のウォーレン・バフェットによるアメリカ金融博物館への書簡で“初期のヘッジファンド”として言及されたのが、ヘッジファンド・マインドの立ち上がりだといえます。

本格的なヘッジファンドの登場

作家・社会学者のアルフレッド・ウィンスロー・ジョーンズが、はじめてヘッジファンドという言葉を用いて事業を開始しました。

諸説ありますが、1949年に同氏によってヘッジがファンド第一号が設立されたと言われています。当時革新的だったのは、現代では古典とされている「株式ロングショート」という手法を多用したことにあります。

株式ロングショートとは、割安株を買う一方で、割高株を信用取引などで売り建てる投資手法のことで、投資の基本中の基本ともいえます。ここから、本格的にヘッジファンド事業が行われていくようになったのです。

ヘッジファンド人気は浮き沈みが激しい

1960年代になると、ヘッジファンドはほとんどの投資信託の業績を上回る成果をあげるようになっていき、その人気も破竹の勢いで伸びていきました。

しかし、1969年~1970年の不況と1973年~1974年の株価暴落で大損を出してしまい、廃業に追い込まれたヘッジファンドが続出します。

今のようにコンピューター技術が進歩していない時代。ヘッジファンドで実際に投資を行っているのはやはり人間です。100%勝つことができれば、いま頃みんな大金持ちになっています。

突発的な大不況など不測の自体によって大きな損失を抱えたときには必ず人気が収束します。

1990年代、インターネット・バブルによる株価上昇で資金が増えたことによって再びヘッジファンドに脚光が浴びせられることになります。

この頃はまさにヘッジファンドの黄金期と呼ぶにふさわしく、年率20~30%というとんでもない高利回りも珍しくはありませんでした。

手法が多様化したことによるメリット・デメリット

その後の10年間、クレジット・アービトラージ、ディストレスト証券戦略、債券アービトラージ、定量戦略などの新しい投資戦略を使って利益を伸ばすヘッジファンドが登場し、ことごとく成功していきます。

そうして富裕層向けの資産運用として盤石の地位を築いてきたヘッジファンドですが、レバレッジを長期的にかけてより高いリスクを取る戦略を多用することの弊害も、いままでより顕著に現れるようになっていきました。

たとえば、1997年に発生したアジア通貨危機に連動して発生したロシア財政危機によるLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の崩壊は、その代表的なものといえます。

実は、このアジア通貨危機は、ヘッジファンドが引き起こした事件なので、ヘッジファンドが金融市場に与えたダメージによってヘッジファンドが潰れるという本末転倒な結果となったのでした。

現在のヘッジファンド人気は底

2008年には、ヘッジファンドの運用資産総計が1.93兆米ドルにまでのぼり、その人気に拍車がかかっていました。

しかし、同年に起こった金融危機によって多くのヘッジファンドが解約を制限せざるを得なくなり、それ以降は運用資産も人気も徐々に減退してきていきます。

2011年には運用資産総計が2兆米ドル近くにまで復帰しましたが、運用成績事態は2009年~2016年まで連続してS&P500指数(アメリカ)の騰落率にも及ばない成績を記録してしまっています。

2016年には再度ヘッジファンドの運用成績が8年ぶりに大きく悪化して大規模な資金流出が起こり、2008年の金融危機が起こったとき以上に多数のヘッジファンドが閉鎖する事態となりました。

以上のことから、ヘッジファンドの影響力が世界的に「徐々に縮小していく可能性」も専門家によって示唆されています。

それでもヘッジファンドがおすすめな理由

当然、ヘッジファンドは莫大な資金を運用しますし、「プロが代わりに投資を行ってくれる」という安心感も事業内容に内包されているため、たとえ世界を揺るがすような経済危機が起きたとしても、投資家側からすればミスは許されたものではありません。

悪いところばかりがフォーカスされてしまっていますが、リーマンショックの際に損失を出すどころか、うまく活用することによって大きな利益を生み出した優秀なヘッジファンドだって存在します。

事実、現在もヘッジファンドは平均10%前後の高利回りを実現していますから、資産形成に大きな利をもたらすことは自明ではないでしょうか。

大切なのは、どんなトレーダーでも人間がやっている以上損失を出してしまう可能性があるということを理解しておくということと、腕の立つトレーダーがいるヘッジファンドを選ぶことの2点です。

より良いヘッジファンドの選び方とは?

どんな大不況にもしっかりと対応して利益を生み出してくれるヘッジファンドを見つけたいのであれば、ヘッジファンドダイレクト株式会社のような投資助言業者を活用することがベストでしょう。

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